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農業体験学習のすすめとポイント

地域の農業とお茶産業を学ぶ
――生き方指導の一環としての茶栽培と茶産業学習

静岡市立美和中学校

2.茶がテーマの総合的な学習

グリーンタイムの実践

 美和中学校では、お茶づくりの体験や研究発表など、お茶をテーマにした総合的な学習の時間を「グリーンタイム」と呼んでいます。お茶農家が多いPTAでつくる「茶園管理委員会」と、手もみの技術を伝える学区内の「手もみ保存会」が協力し、学校と地域が一体となって生徒の学習活動を支援しています。

(1)グリーンタイムのねらい
 ア 生徒一人一人が、郷土の産業から職業に対する理解を深めることにより、自分の将来進むべき道を選択する能力を育てます。
 イ 地域の社会人や保護者との関わりの中で、郷土及び実社会に対する関心を高めます。
 ウ お茶会の中で自己をふり返り、自己を見つめる機会とします。
 エ 「有意義な生き方」としてボランティア活動に目を向け、意義を考え実践します。
 オ 調査、体験、まとめ、発表という過程を繰り返すことにより、課題を自ら解決する能力を育てます。

(2)具体的な学習活動

 自己課題を主体的に追求する「総合的な学習の時間」を基本に、各学年ごとに設定したテーマに沿って学習活動に取り組みます。

伝統の茶会

地域の方々を招いて行なう茶会

 美和中学校の生徒は、在学中に5回の茶会を体験します。入学当初の4月には、3年生が1年生を招待する「歓迎の茶会」が行なわれます。茶会は「亭主」と呼ばれる進行役(3年生)を中心に、校内の庭園「洗心の園」で行なわれます。1年生全員が茶会のなかで、中学に入っての決意を述べます。

 その後、お茶について学んだ1年生がお返しに、3年生を茶会に招待します。また、職場体験学習や進路学習でお世話になった方や保護者、学区の方々を招いて行なう茶会では、生徒が地域社会における自己の存在感を実感する大切な学びの場になっています。

茶摘み・手もみ・茶園管理を体験

毎年5 月上旬に茶摘みを体験/摘んだ茶葉を蒸し上げ、手もみする

 毎年5月上旬に、1年生は初めて茶摘みを体験します。上級生に教えてもらいながら、腰にびくを付け、茶葉を摘みます。最初の1時間だけは2・3年生の先輩が茶摘みの仕方を教えながら手伝います。

 生徒はびく一杯にお茶を摘んだ後、手もみ保存会の方々の指導を受け、2〜3時間かけ、交代しながら体育館で茶葉を蒸し上げ、焙炉で手もみをします。さらに、茶葉が飲めるお茶になっていくまでの過程を学びます。手間をかけようやくお茶ができあがると、お茶会を開いて自分たちが苦労した結晶の味を堪能します。

 収穫したお茶は、1年生は自ら企画運営する「自立の茶会」で、2年生は進級の決意を表わす「立志の茶会」で、3年生は卒業生としての感謝を表す「感謝の茶会」で使用されます。また、一部は製品化され地域の方々に販売されますが、すぐに売り切れてしまうほどの人気です。売上金は茶園の維持管理のために使われます。

 また毎年7月には、茶園管理委員会の方々に手伝っていただきながら、茶園の雑草退治を、全校を挙げて行ないます。

茶碗と茶托も自らの手で

美和焼の工房で煎茶茶碗をつくる

 1学年の夏休み前に行なわれる校外学習では、自分たちの手で摘んだお茶を茶会で飲むため、煎茶茶碗と茶托を自らの手で制作します。学校の近くにある美和焼の工房で指導を受けながら、板づくりという方法で粘土を器の形にします。粘土が乾かないうちに手際よく完成させなくてはなりません。つくり上げた生徒からはホッとしたように笑顔がこぼれます。

 茶托は、木に浮き彫りを施して塗装と仕上げをします。花や葉、鳥など思い思いの絵を彫り、世界で一つしかない、自分だけの茶器ができあがります。


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