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はじめに

農へのいざない
――体験学習の大切さ

蕪木 豊

1.食の危機と「生きる力」

一見純和風だが、すべて輸入ものの朝食

 いま世界では65億近い人々が生活しています。そのうち13%にあたる約8億5,000万人の人々が栄養不足の状態にあり、毎年1,000万人が餓えで亡くなっています。

 一方飽食の時代にあるといわれる我が国では、残飯が年間1,000万t、生ゴミ(食品廃棄物)全体では2,000万tが廃棄されています。この数字は、世界全体の食料援助量の750万tに比べるとなんと3倍近い数字になります。我が国の食料自給率(カロリーベース)は約40%で、先進国の中では最低基準であり、毎年3,600万tの食料が輸入されています。

 国際分業の時代とはいえ、国民の生命維持にかかわる「食」がこのような状況でよいのでしょうか。考えさせられる問題です。

 人々の食に対する意識や価値観が低下するなかで、2005(平成17)年6月に「食育基本法」が成立しました。国をあげて、未来を担う子どもたちに生き生きと生活してもらうために、「食」が大切であることを十分理解させ、健全な食生活を実践できるように取り組んでいくことになりました。

主要先進国の食料自給率(カロリーベース)
(資料)農林水産省web サイトより

 今次、教育改革の大きな問題は、児童生徒に「生きる力」をつけることであります。人間は生きていくためには食べなければなりません。まずは体力づくりが基本であり、困難に出会ってもそれに立ち向かう体力と気力こそが大切で、「生きる力」とは、いわば「心と体のスタミナ」であると言えましょう。要は、強靭な心身を育むことであり、そのためには「食」がおろそかにされてはいけないということです。

 とくに、最近はいわゆる「食と農の乖離」が進み、児童生徒が自分たちの食べている食材がどのようにつくられているのか、その過程を知る機会も失われてきています。


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