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(1) 農山村フィールドワーク体験による農業・環境学習
(2) 触覚に注目したブルーベリーの目隠し収穫体験プログラム
(3) 食農教育から生まれる教育的効果に関する
(4) 地場産学校給食を入り口に幼稚園も小学校も積極的に食農教育
(5) 連携してここまで高めた小学校の「総合的な学習」と農高の教育力
(6) 生活文化の語り部・農村の高齢者
(7) 教育にとっての家畜の活用
出典 『農業学習の教育効果に関する総合的研究』
執筆 片岡美喜(愛媛大学大学院連合農学研究科・日本学術振興会持別研究員)
協力 日本農業教育学会

1 はじめに

 農業や農村を媒体とした児童・生徒対象の教育活動、体験学習などが、様々な場所で見られるようになっている。農業・農村サイドに端を発した教育的活動の多くは、広く一般消費者に農業への理解を求めることを目的としている。地域農業の現場は、農業に関する教育的活動を子供の頃から行うことによって、農業の“サポーター”としての機能を、そして将来の農業者育成の助力になることを期待している。そのため、このような動きは、教育現場からの要請によるものよりも、地域農業の課題への対応策として農楽・農村サイドから取り組まれる場合が多い。
 その現われとして、農業団体ではJAグループの「3つの共生運動」の中で揚げる「次世代との共生」「消費者との共生」を絡めた農業体験を中心とした学習活動(註1)や、農水省を中心に提唱されてきた食農教育(註2)の取組などが挙げられよう。
 最近では、「生きる力」の涵養や総合学習における活用の観点から、文部科学省も農業・農村での教育活動に関心を示し、政策的な関与も見せるなど、取組が次第に浸透しつつあるように見える。このような現状において、望まれる普及啓蒙効果、教育効果は生まれているのだろうか。
 本稿では、食農教育の効果を期待し、取組事例が増加している地場産業産物の学校給食への導入とそれに付随する教育的取組に焦点をあて、農業の普及啓蒙効果、教育効果について、愛媛県今治市におけるアンケート分析を一助に、考察を行う。

2 愛媛県今治市の敢租概要

 愛媛県今治市では1981年に有機農業者らの持続的な農業基盤の確保と、保護者らの食の安全性への懸念によって立ち上がった市民運動が契機となり(図1)、有機農産物や減農薬米などの地場産農産物を学校給食用食材として活用している。
 有機農産物の使用は、1988年に鳥生小学枝の自校式調理場の建設に伴い、その校区である立花地域において始まり、現在では、市内5つの小中字校の約1770食分、市全体の15〜16%を占め、旬の野菜を中心に20数種類の品日を扱うまでに至っている。有機野菜の供給は、当初からの立花地区有機農業研究会を中心に、89年に清水、乃万地区の生産者による「安全な農産物の生産と健康な生活をすゝめる会」が、2001年に市農業講座の卒業生である定年帰農者や主婦らをメンバーとした「学校給食無農薬野菜生産研究会」が加わるなど、農業者のみならず、市民を巻き込んだ生産者層を形成した。
 有機農産物以外の地場産農産物として、1999年から市内全校で給食用米穀を減農薬米へ切り替えたこと、2000年には地場産大豆を使用した豆腐、2002年に地場産小麦を使用した学校給食用のパンの導入が行われている。
 有機農産物を軸とした地産地消の学校給食を進める同市の学技給食だが、その特徴を伝える教育に関しては発展段階にある。平素は、「給食だより」や給食の時間を通じてその日の献立や農産物に関する情報の提示を行うこと、社会科など授業においては学校近隣の田畑の見学を行うなどの教育活動を行っている。
 意欲的な取組としては、市内4つの小学校で2002年から学校農園での有機JAS認証の取得を目指す取組が開始されたことが挙げられる。この取組は、有機JAS認定を受けた学校農園で栽培された農産物に、有機JASマークをつけ、直売所やバザーで販売する計画で、生産管理から消費まで連続して行うことによって、従来の一過性になりがちだった教育活動における農業体験の体験範囲を広げたもので、今後の展開が期待できる。
引用:片岡美喜「修士論文・学校給食における地産池消の展開に関する考察-高知県南国市および愛媛県今治市を事例として-」表16、2003年3月
図1 今治型取組における諸条件形成
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