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(1) 栽培方法を科学的に考えさせる栽培マル秘作戦の実践
(2) 栽培体験の教育的効果に関する
(3) 地域の教育力を取り入れた栽培学習
出典 『農業学習の教育効果に関する総合的研究』
執筆 竹村 久生(静岡県佐久間郡佐久間町立佐久間中学校教諭)
協力 日本農業教育学会

1 緒言

 小中高での教職経験を生かして義務教育での栽培実践を積み重ね10年以上になる。そこで確かにこの一連の活動を体験することによって子供たちに何らかの変化が見られることも分かった。
 それにも増して植物を育てたことのない親や周りの人たちも栽培活動に興味を持ってくれたことも確かだ。しかし時間的、施設、物資的にかなり無理があることも事実だ。
 そこで私は今の教育現場でなぜ食農教育が必要かという理論的なおさえを次のように考えた。
 戦後欧米の文化教育を取り入れ、合理的で、素早い教育を目指してやってきたことや食文化においても同様であり欧米の食生活(肉やパン)を取り入れた。そんな中で日本人元来の農耕民族であることや古来の食文化(野菜や米)が失われてきているように思う。
 それが今になって信じられないような凶悪事件を毎日のように起こさせたりそのような人間を育ててしまったりしているように思う。以前(特に戦後直後食べる物に困った時代)は、どこの家でも食物を作り互いに分け合って生活をしてきた。これにより人間として安定した成長がなされたように思う。そこで私が考えているのは、人間は生まれつき、農耕民族の血が流れておりその因子を持って生まれている。それが現代では、その体験がないため因子が目覚めないうちに大人になったり、一生を終えてしまったりする人がほとんどになっている。一生のうちでできるだけ早い時期に栽培体験(種から自分の力で作物を収穫するところまで)を一度体験させることによって人間が元来持っている因子が呼び起こされ正常な成長が保障されるだろうと考えた。
 だから今こそ「栽培教育」が必要だと確信している。しかし残念ながら今の義務教育においては授業時数が減らされコンピューターが主流になり学力の充実が叫ばれている昨今、施設や物資的にも無理な点が多くこの「栽培学習」に時間を取ることは非常に難しいのが現状だ。そこで以下のような方法により研究を進めた。

2 研究方法

 どの学校でも、だれでも簡単に種から自分の選んだ作物が栽培でき、自分で作った作物のおいしさを体験できる。発泡スチロールやコンテナ(潅水チューブ)を利用した栽培方法を考えた。学校の狭いスペースで作物を作るには、今まではプランターや鉢での栽培を考えたが、土の量が少なすぎたり、器が小さいので根が外へ出たりして、栽培後期の一番大切な収穫期に枯れさせたり、満足できる収穫物が得られなかったりした。また、大きな鉢やプランターだと高価で入手しにくく、重たくなるため、移動や取り扱いに困る。このマニュアルを利用すれば、安価で入手し易く、リサイクルにもつながり、上手に栽培物ができ、しかもできるだけ子供たちの身近に置くことができる。その成長の様子を目の前で見ることは、栽培物にも自分と同じように命があることに気づいて、それを大切に育てることによって、自分や友達の命を大切にする子供が自然と育つであろうと考えた。また、自分が作った苗や収穫物を互いに分け与えて食べたり、育てたりすることにより、人間の本来のやさしさが芽生えてくるように思われる。栽培物ができた喜びで子供の目が輝いた時、また次の栽培への意欲が生まれる。そうした、子供の目の輝きが生きる力につながると考えている。
 また、栽培の授業での重要性として、ミニトマトを種から栽培させデジタル糖度計で糖度を数字で表す。その糖度を上げるために自分の生活経験や色々な手段により調べ栽培方法を実践させ、その科学的理論について考えさせる。
 そのためにグループで話し合わせたり仕事を分担させたりし、最後に自分たちのやったことや考えた事をグループでプレゼンテーションをさせる。
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