農業体験学習ネット
保育園・幼稚園児
体験学習 実践・研究報告のトップへ
(1) 小さな農業者の感性が発信する 花倉山からのメッセージ
(2) 幼稚園での植物栽培活動とその意義
出典 『農業学習の教育効果に関する総合的研究』
執筆 梁川 正(京都教育大学教育学部)
河嶋 喜矩子(京都教育大学教育学部附属幼稚園)
協力 日本農業教育学会
 21世紀を迎え、情報化、少子化、都市化が進む中で、現在の子どもたちにとっては、周囲の環境が人工化して、植物に触れあい育てるという機会が非常に少なくなってきた。
 しかし、多くの幼稚園では、園内でいろいろな植物を栽培し、子どもが植物とかかわることができるように配慮されている。たとえば、春、新入園児を迎えるために、桜の花のほか、花壇では色とりどりのチューリップが花を咲かせ、夏には、ミニトマトなどの野菜を育てている。秋になったらサツマイモ掘りに出かけ、冬になればヒヤシンスなどの球根の水栽培が行われる。
 ここでは、幼稚園で行うことが可能な主な植物栽培活動について、京都教育大学教育学部附属幼稚園での子どもと栽培とのかかわりの実践から、その意義や役割について検討してみたい。

1 植物栽培の意義

 植物に触れたり、成長や開花、結実の様子を観察したりする活動によって、幼稚園の子どもたちに次の4つの心が育まれる。
 一つ目は、「和らぐ心」である。これは、植物にかかわることにより、気持ちが落ち着き精神的に安定するというものである。
 二つ目は、植物の成長、開花、結実のさまざまな現象を観察して、「不思議に思ったり、驚いたりする心」である。
 三つ目は、生きている植物の生命力に触れ、「命を感じる心、命を大切にする心」である。
 四つ目は、栽培して植物が順調に育つことや植物にかかわることを楽しみ、野菜では収穫して食べることを楽しく思い、草花であれば開花した花を楽しむといった「楽しむ心」である。
 これらの効果は幼稚園児だけでなく、大人にもあてはまる。幼稚園では、子どもの送り迎えなどで保護者が幼稚園に来る機会が多いので、保護者も一緒になって植物栽培活動を行い、植物の成長、変化のようす、不思議さに興味をもち、育てる喜びを体験してほしい。子どもを育てている保護者自身も、都市化、情報化の中で育ってきて、植物栽培の経験が少ない人も多いので、親子で行うこのような活動は意義のある大切な活動である。
 今の子どもたちは土にさわった経験が少ない。子どもたちには植物を育てるという体験を通して、まず、自分も生きているんだという実感をもってほしい。小学校では、低学年の生活科の中で、いろいろな植物の栽培が行われている。しかし中学生年以降になると、理科では育てることよりも形態観察や仕組みを学習することが中心となる。中学校では技術・家庭科に栽培という領域があるが、実際に栽培活動を行っているところは少ないのが現状である。このような点からも、幼稚園でいのちを育てる栽培活動を行うことはきわめて貴重で、大きな意義がある。
戻る 進む
 
農業体験学習ネット
このコンテンツのすべての画像、文字データについて無断転用・無断掲載をお断りいたします