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入間市立上藤沢中学校の茶摘み体験

 入間市立上藤沢中学校の茶摘み体験は、「総合的な学習の時間」を3CHA(茶)タイムと命名し、学校全体で「狭山茶と私たち」をテーマに学習活動に取り組んでいる。「総合的な学習の時間」の学年別テーマは、1年「狭山茶・地域」、2年「産業・伝統文化」、3年「夢の実現」である。3CHA(茶)タイムでは、(1)体験的な学習やボランティア活動を取り入れた体験学習を重視する、(2)茶摘み体験や茶席体験などお茶に関する学習活動を中心に、環境・郷土の歴史・福祉、国際理解等へと学習内容を発展させる、(3)校外体験活動として学習の形態を工夫する、ことに力を入れている。3CHA(茶)タイムを通じて、Chance(設定する力)、Challenge(追求する力)Change(まとめて表現する力)の三つの力を身に付けさせることをねらいとしている。

 茶摘みに先立ち生徒会主催の茶摘み集会を開き、全校生徒と保護者に生徒会役員が茶の摘み方を説明する。茶摘みの手順を参加者全員が理解してから茶園に向かう。茶園は、学校近くに2カ所あり、1・2年生と3年生に別れて茶摘みを行う。保護者も参加して一番茶を収穫する。製茶は近くの製茶工場に依頼し、仕上茶に加工してもらう。茶を袋に詰める作業は生徒会役員が中心になって行う。できあがったお茶は、生徒が一袋ずつ自宅に持ち帰る。

 学校では主に茶園の管理と茶摘みを行っている。地域の特産物を活用した教育を推進する行政サイドの支援を積極的に活用し、生徒が地域の歴史と文化を総合的に学ぶ学習の成果に期待したい。

取材しての評価

・1987年から20年間継続し、教育活動の一部として定着している。
・PTAのOBやPTA会員の協力を得て茶園の管理を行っている。教職員(技術家庭科担当)が日常的な管理を行っているが、作業のための時間確保が難しく行き届いた手入れができない。また、生徒の体験学習のための時間確保が難しく、全生徒が茶園で行う農業体験学習は一番茶の収穫のみにとどまっている。
・茶摘み体験の他に、茶席体験等お茶に関する学習を入間市博物館の協力を得て行っている。環境・郷土の歴史等に発展させる教科横断型の学習成果に期待したい。
・地域からの支援に感謝し、より教育効果の高い学習活動に発展させようと努力する学校の姿勢に好感が持てる。反面、樹勢の衰え、周辺環境の急激な変化に伴う新たな対応など、継続していく上で派生する課題も少なくない。

(服部 修 記)

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問い合わせ先:
入間市立上藤沢中学校
1年4学級、2年3学級、3年4学級
生徒数353名  教職員37名
〒358-0013 埼玉県入間市上藤沢146-2
電話 042-963-2677  FAX 042-965-5485

 

入間市の特産「狭山茶」

 入間市は埼玉県の南西部に位置し、所沢・狭山・飯能、東京都青梅市・瑞穂町に隣接した町である。近年は西武池袋線沿線に高層集合住宅が増えつつあるが、市域の東南と西北にはなだらかな丘陵があり、広々とした緑の景観も残っている。「狭山茶」の産地としても知られ、県の生葉生産量の半分以上はここ入間市で生産されている。JR八高線「金子」駅の東、金子台には関東以北では最大といわれる約350haの茶畑も見られる。

 入間市立上藤沢中学校で茶摘み体験が行われるようになったのは、開校3年目の昭和62年のことである。「校庭の向こう側は所沢市」という市域の東端に位置している上藤沢中学校周辺は茶栽培の中心からははずれているものの、もともと養豚と茶の栽培が盛んであった。

茶摘み体験のきっかけ

 「きっかけは初代の校長が地元の人から茶業を継ぐ人がいなくなって茶畑の管理ができなくなったという話を聞いたこと。空いている畑があったら、ぜひとも生徒たちに茶栽培の体験をさせたいと申し出たのです」と、9代目の古藤成一校長。これに対して近所の2軒の茶農家が無償で10aずつ計20aの畑を借してくれた。もちろん、茶樹つきである。

 これが上藤沢中学校の茶摘み体験のはじまりである。現在は「総合的な学習の時間(以下総合学習)」で実施している。上藤沢中学校では総合学習を「3CHAタイム」と命名。“3CHA”は「3茶」である。「狭山茶と私たち」を学校全体のテーマとし、1年は「狭山茶・地域」、2年は「産業・伝統文化」、3年は「夢の実現」という学年別のテーマを掲げて学習する。3CHAタイムは、(1)体験的な学習やボランティア学習を取り入れ、(2)茶摘みや茶席などお茶に関する学習をベースに環境や郷土の歴史、福祉、国際理解などへ発展させ、(3)校外体験学習として学校行事などの学習形態を工夫することをねらいとしている。さらに、「Chance(設定する力)」「Challenge(追求する力)」「Change(まとめて表現する力)」の3つの“CHA”を身につけることを目指しているという。

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上藤沢中学校のお茶畑

狭山茶とふれあう教育

 入間市では教育行政の基本に「狭山茶とふれあう教育の推進」を掲げており、入間市の小・中学校で学ぶすべての子どもたちは本格的な茶席を体験している。この茶席の体験学習は、狭山茶をはじめとするお茶についてのさまざまな情報を発信する入間市博物館「アリット(art library information tea)」で茶道連盟に所属する茶道の師範によって行われる。アリットでは学芸員による「おいしいお茶の入れ方」「こどもお茶大学」なども開催されており、学芸員が小・中学校へ出前授業に出掛けることもある。さらに市教育委員会主催による小・中学校教員向けの「狭山茶とふれあう研修会」などもここで行われる。

 上藤沢中学校でも1年生は総合学習の時間に、この博物館を訪れる。小学校でのお茶体験をさらに発展させた学習にするためである。学芸員からお茶の飲み方だけでなくお茶の歴史や文化についても学ぶが、この学習が実際の茶摘み体験とも結びつくのである。

全校生徒で茶摘み体験

 毎年5月、上藤沢中学校では恒例の茶摘みが行われる。静岡などに比べると気温が低いため、茶摘みの時期は八十八夜よりも少し遅い。本番に備え、事前に生徒会主催の茶摘み集会が開催され、生徒会役員が生徒とボランティア参加の保護者に茶の摘み方を解説する。お茶の品種はヤブキタ。一番茶を収穫する。

 当日は学校のそばの2カ所の畑で全校生徒(今年度は353名)と保護者が茶摘みを開始。絣に襷がけの茶娘に扮した教職員や生徒もいて雰囲気を盛り上げる。1・2年生と3年生が別々の畑で2時間ほど茶摘みを行うが、やはり熟練した3年生の方が収量は多い。昨年は天候が悪く収量は96kgと少なかったが、今年は目標の200kgを超え、204kg収穫できた。摘み取った茶葉は保護者によって製茶工場に運ばれ、そこで仕上げ茶に加工してもらう。

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着物姿での茶摘

上藤沢中学のブランド茶をつくる

 1カ月後、できあがったお茶は生徒会の役員たちの手によって袋詰めされた。今年は90gずつである。その年の収量により1袋の容量は変わるが、全校生徒の家庭、来校者にも行き渡るようにするには500袋はつくらなければならない。上藤沢中学校の名前入りの茶袋に詰められたお茶は感想文とともに茶畑を貸してくれている農家にも配られた。「今年は香りがよかった」(PTA)、「ここ数年で一番質がいい」(農家の人)など今年のお茶は好評である。さらに茶摘みのようすが新聞やテレビなどでも取り上げられ、生徒たちはますますやる気になっているという。(続きを読む

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