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秩父市立荒川中学校の農業体験学習

1 子どもたちの農業体験学習支援事業

 低年齢から農業への理解を深めるとともに就農の動機付けをはかるため、市町村が実施する小中学生への農業学習体験を支援する。

 県の補助事業がきっかけで、市教委で手を挙げ中学校で実施した。農家より10aを借りて3年間、ジャガイモ・シャクシ菜・サツマイモ・大豆・トウモロコシ・ソバ栽培と収穫物の加工を体験。

 この体験により関心を示さなかった生徒が爺ちゃんの農作業を手伝うようになった。加工との組合せにより効果があった。理解者育成という点では効果があった。地域・学校・行政との連携が良かった。

2 地域との密着度が大きい

 あの畑は学校のものと知れ渡っている。子どもたちの足らないところは、委嘱した農業の指導者が管理作業等をやっていてくれる。

3 野生動物対策

 サル・シカ・イノシシなどが出没し、食害がある。環境・野生動物について専門家の講演を聴いた。電熱線を張り巡らした畑を生徒と一緒に見に行き、電熱線柵を生徒と一緒につくった。

 土地の人はサツマイモ・トウモロコシを栽培することが動物を呼んでしまうと警戒する。学校にクレームが来ないか心配したが、今のところない。日頃からの危機管理も大切である。

4 雰囲気

 学年主任は、前任校ではラグビー部顧問であった。声が大きく戸外でも良く通る。本実習においても指示が簡潔明瞭であった。集団を行動させる良いキャラクターだった。初めて担任の若い女性教員もとまどうことなく実習指導に当たっていた。教員が農業が好きになっている。作った作物を先生方にあげる、業務主事の方にあげるとお浸しにしてくれるなど「教えのチームワークづくり」に役立っている。

 収穫したサツマイモの試食について、保護者に相談したら茶巾しぼりにしてくれた。蒸しただけではつまらないが、楽しみが大きく膨らんだ。

5 学習のまとめと成果

 文化祭壁新聞の作成(栽培経過、電気柵、動物対策ポスターを駅へ掲示)。秩父市子ども議会での発言(収穫物を老人ホームで食べてもらいたい、誰が作ったのかわかるものが食べたい)。作業を協力してやるようになった。作業を工夫してやるようになった。

 しゃくし菜漬けがNHK845で放映されたり、普及センターのホームページに載せてもらったりなど生徒は喜んだ。

 目的とやることが明確であった。やったら生徒が動いた。動いたら成果が上がった。生徒の目に見えることを1年を通してやる。体験の中で生徒が自分で学ぶ(季節を知る。食を知る。自然を知る)。生徒自身も成果が見えた。

(梅林寺 斉 記)

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問い合わせ先:
秩父市立荒川中学校
1年2学級、2年2学級、3年2学級
生徒数191名 教職員20名
〒369-1803 埼玉県秩父市日野23
電話 0494-54-1010  FAX 0494-54-1110

 

いかにして秩父が生き残るか

 秩父鉄道「秩父」駅から三峰口行に乗って5つ目。「武州日野」駅から徒歩5分のところに秩父市立荒川中学校はある。ここ荒川地区(荒川村)は平成17年に吉田町、大滝村とともに秩父市に合併したが、豊かな自然が残り、清雲寺の樹齢600年のしだれ桜やそばの里としても知られる。白久(しろく)串人形や神楽、獅子舞など昔からの芸能が受け継がれている地域でもある。

 荒川中学校は生徒数約190名(3学年6クラス)、教職員数約20名という、いわゆる小規模校。教職員が「すべての生徒の名前と顔を覚えられる」規模である。県内では剣道の強い中学校としても有名だが、最近では地域の伝統芸能や農業などにも注目。体験学習にも力を入れている。高田忠一校長に総合的な学習(以下総合学習)などで行われている体験学習についてたずねると、まず、次のような言葉が返ってきた。

 「過疎地が、秩父がいかにして生き残れるかは、やはり教育にかかっていると思います。地域の豊かな自然や文化、産業を活用して地域の調べ学習、体験的な活動を展開していきたいですね。そのためには学校、家庭、地域の連携が必要になります」

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ジャガイモの収穫

“秩父好き人間”を育てる

 荒川中学校では「志高き秩父大好き人間を育てる」というスローガンの下、秩父市教育委員会が取り組む秩父市学校創造スーパープランを受け、教育目標として「秩父を愛し、秩父に学び、笑い・感動・夢のある元気な学校」を掲げている。“秩父大好き人間”を育てるためには、やはり地域の人々の協力が不可欠になる。荒川中学校では体験学習の指導者として地域の人々を起用。地域の人々とのふれあいを通して生徒たちに自分の住んでいる地域をより知ってもらおうとさまざまな体験学習を実施している。ちなみに剣道部の指導をしているのも委嘱状を託した“地域の先生”だ。

おとふじワールド

 実は荒川中学校の総合学習は「おとふじワールド」と呼ばれている。「おとふじ」は地元の弟富士という山の名前だ。ここで、おとふじワールドの内容を簡単に紹介しよう。

 1年生は「荒川を知ろう」と題し、秩父鉄道や祭、キノコなど生徒それぞれが地域に目を向け、テーマを定めて学習し、その成果を発表する。2年生は「地域の農業に感心をもち、体験し、学ぼう」。本稿のテーマである農業体験である。3年生は「郷土芸能・白久(しろく)串人形を学ぼう」だ。ちなみに串人形というのは幕末から荒川村白久地区に伝わる人形芝居。一人が手を操り、もう一人が頭をもつ全国でも珍しい二人遣いの人形である。2本の竹串によって操作するため、こう呼ばれる。生徒たちは人形づくりから操作、舞台装置まで串人形芝居座の人たちから手ほどきを受ける。今年度は老人ホームでその腕前を披露。ゆくゆくはボランティア活動にも広げる予定だという。

初めての農業体験

 荒川中学校では2年生になると総合学習の時間に農業体験が行われる。

 「山間部にある学校といっても土いじりをしたことのない生徒がほとんど。中学校の農業体験で初めて農作業を体験する子ばかりです」と2年生の学年主任の尾上貴宣教諭。担当教科は社会科である。農業体験の基本的な構想を練ったのは技術・家庭科の担当教諭だが、2年生2クラス64名の生徒たちを指導するのは学年主任の尾上教諭と学級担任2名の計3名だ。とはいっても、実際の農作業については地域の農家や農林振興センターの指導員がていねいに指導してくれる。

 「生徒にとって畑での作業は僕ら教師よりも農家の人たちのほうがとっつきやすいようです。近所のおじさん、おばさんといっしょにやっているような感覚でお年寄りとふれあうよい機会にもなっています。もちろん、教え方もうまいですから……」と高田校長。昔から地域と学校の密着度が強い土地柄なのだという。(続きを読む

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