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人間性豊かな生徒の育成を図るために

 観音寺市立大野原中学校は、香川県の西部に位置し、平成17年観音寺市と合併し2年目となる。讃岐平野の最西部に属する地域は古くからの農業地域であり、水稲やレタス、タマネギなどの野菜栽培が伝統的に盛んである。古くは農業地帯であったが、最近では農業者の老齢化、兼業化が進行している。

 また、最近では工場誘致なども進んできており、産業構造の変化と併せて農業・工業・商業の調和のとれた産業・経済の発展が図られている。近くには、四国八十八カ所霊場六十六番札所雲辺寺がある。

 大野原中学校は、生徒数380名、学級数12学級の中規模の中学校であり、「自ら学び、心豊かで、心身ともにたくましい生徒の育成」を教育目標に揚げ、日頃の教育活動が活発に展開されている。

 近年、生徒が自然とふれあったり、自ら生産活動に親しむ機会が少なくなり、学校教育の現状が知識の伝達に偏りがちな傾向にある。したがって、体験活動をとおして、知・徳・体の調和のとれた、人間性豊かな生徒の育成を図るため、勤労生産学習を年間計画の中に位置づけ、全校をあげて取り組んでいる全国有数のモデル校である。

(矢那瀬利廣 記)

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問い合わせ先:
観音寺市立大野原中学校
各学年4学級 全校生徒380名、教職員数30名
〒769-1612 香川県観音寺市大野原町中姫1189-3
電話 0875-54-3100  FAX 0875-54-3101

 

イネとタマネギで年間を通して田畑を活用

 11月末、青いジャージ姿の240人の生徒たちが学校から歩いて3分ほどの畑へと向かう。観音寺市立大野原中学校の1 、2学年、各4学級の生徒たちだ。

 途中にタマネギの苗を育てている小さな畑があり、そこで先生たちが苗取りの作業をしている。土から抜いた苗は、しっかりしていて生育の揃いもよい。

 「地ごしらえをていねいにして、水もきちんとやったからでしょう」
と、ここで作業の段取りをつけていた教頭の馬淵和夫先生は話す。タマネギの種まきは、教頭の馬渕先生、同じく教頭の山田博司先生が担当した。土が乾いてくると、畑の隣の水路から水を動力噴霧機で上げて、撒いてきた。

 防除作業は教職員がする。苗は束にしてべト病などの細菌による病気にならないように、馬淵和夫先生が根際から下を殺菌剤の液にさっと浸し、それを並べて乾かしていく。

 生徒はそれぞれ20本ほどの苗を手渡され、広い畑に到着する。15アール(1500平方メートル)のこの畑は、苗を育てた小さな畑と同様に近くの農家から貸してもらっている。広々とした畑も240人もの生徒たちが中に入ると、狭く見えてくる。

タマネギの植え付け開始

 いよいよ生徒たちはタマネギの苗の植付けにとりかかる。畝にはすでに農協の営農指導員が黒いマルチ(被覆)シートを張り終えてくれている。マルチシートは風で飛ばされないように土が乗せてある。

 長い畝がそれぞれの学級に割り振られている。生徒たちは、マルチシートに開けられた小穴を探す。まずはマルチシートの上の土を手で払いのけていく。最初はすぐには見つからない。ようやく見つけた穴は、サイズが親指の太さよりやや大きい程度だ。穴から土のなかに指を突っ込んで植え穴をつくる。そこに苗を1本、差し込んで、土を寄せる。

 植え付ける深さはどのくらいなのだろうか。

 「苗の白くなっているところまで土に埋めます」と生徒が答える。これは、あらかじめ先生から指示されたとおりだという。植付けを繰り返すうちに小穴の位置関係もわかってくる。苗を植え付けるペースが上がっていく。

 2年生はすでに1年前に植付けを経験しているので、最初からどんどん上手に作業をすすめている。なかには、
  「小学校でもタマネギを植えました」
という生徒もいる。

 天気も上々で、生徒たちはのびのびと作業をしている。この日は中間テストの最終日で、午前中で試験が終わった。午後の5、6限のタマネギ植付けは、解放感もあって楽しい作業となった。

 植付けが終わった畑では、根がしっかりとついて成長がすすむように、先生がホースを使って散水をしていく。

コメやタマネギの栽培を軸とした教育

 中学校のある大野原町は、平成17年10月に1市2町の合併で観音寺市となった。

 観音寺市は香川県西部にあり、山間部から海岸部まで広がっている。この中学校の校区のある大野原町は、コメ、レタス、タマネギ、アオネギ、ミカンの産地となっている。レタスは県内一の大産地で、水田でイネを栽培したあとにレタスが何作もつくられる。また、タマネギも水田のイネの後作で栽培されている。

 ここは扇状地で水利の便が悪いところだった。江戸時代にため池をつくり、開墾をして田を広げてきている。農業地帯ではあるけれど、工場の進出などで、専業農家が減ってきた。農業を手伝う子どもたちの姿もほとんど見かけなくなった。

 それでも学校の周辺にはまだ田畑が広がっている。なお、近くに四国八十八カ所霊場第六十六番札所の雲辺(うんぺん)寺がある。

 現在、大野原中学校では、地域で多くつくられる農作物のなかから栽培が比較的しやすいイネやタマネギなどを選んで教育に取り組んできている。(続きを読む

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タマネギの植付け

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