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1 農業体験学習、中学校での実施率は32.3%

 「食農教育」ということばが使われはじめて、おおよそ10年になります。

 食農教育は食生活の大切さを考えさせる「食育」と食料生産を担う「農業」を結びつけ、食がどのように作られているかを体験的に学習し、人間の食について考えさせていこうとする教育活動です。平成10年の学習指導要領改訂によって、新たに教科の枠を超えた横断的な「総合的な学習の時間」が創設され、これを契機に食農教育に取組み、農業体験学習を導入した学校も増えてきました。しかし、その「総合的な学習の時間」も新しい学習指導要領の改訂によって、時間数が軽減されるなど厳しい状況に置かれています。

 特に、農業体験学習については、実施している学校は、平成19年度の調査(注)によると、全国で64.9%であり、小学校では79.3%、中学校では32.3%となっており、小学校に比べて実施率の低い中学校への導入が課題となっています。実施している学校の導入の経緯はさまざまであり、農の持つ教育的意義をふまえて、戦後の早い時期から伝統的に独自に取り組んできた学校や勤労生産・奉仕的行事として導入し定着してきた学校、学校裁量時間や修学旅行で特色ある学校づくりの一環として実践してきた学校、社会科や技術・家庭科等の教科学習の中で、あるいは学級活動、クラブ活動の中で取り組んできた学校、また「総合的な学習の時間」の創設により比較的新しく導入した学校等々であります。
〔注〕(社)全国農村青少年教育振興会調査

2 中学生に農への関心を持たせるということ

 「はじめは面倒くさいし、暑いし、いやだったが、日がたつにつれ、どのくらい大きくなっているのかが楽しみになった」、「何よりも汗をかきながら自分で育てたということを強く実感した」、「あの収穫したタマネギをみんなに食べてもらえると思うと、うれしい」、「店頭に何気なく置かれている野菜や果物も、このように一つ一つ時間と手間をかけて育てられていることを、体験を通して学ぶことが出来た」、「リンゴの摘花は、高いところで上を向いたりして行う作業だったのでとても大変でした。だけど一生懸命するということを学びました」、「暑い中、地道に草抜きやタマネギ、米などの収穫を行い、おいしい食物をみんなのために作っているんだなあということが分かった。農業は大変だけど、やりがいのある仕事だなと私は思う」。

 いずれも取材した学校の生徒のことばであります。働くことやものを作ること、農作業の大切さ、収穫の喜びなどを中学生の柔らかな心でしっかりと受け止め、机上の学習では得られない大事なものが一人一人の心の中に根付いているものと思います。まさに体験学習の持つ意義がそこに反映されているといえましょう。

 また「僕の家は農家で、収穫の時は手伝う時もありましたが、どんな風に野菜の種をまくのか、苗を植えるのか、なかなか教えてはくれませんでした」という生徒もいます。これが農家の子どもたちの実態ではないでしょうか。「人は食を失っては生きていけません。人は土から離れて暮らすことは出来ないということがとてもよく分かりました」、「いい土を作ることの大切さに気づきました」、これらは人間が生きることや農の根本をきちんと言い当てています。

 私たちは、多くの課題を抱えるわが国の農業の現状と若者たちの実態を考えるとき、人生の最も多感な時期にあり、自らの生き方への探求に旅立とうとしている中学生に、まず何よりも生命のもととなる食を生産する農に触れ、興味・関心を持つ機会を設けることが必要であると考えます。そこから我が国の食の状況と農業の実態を認識し、さまざまな課題について深く考え、自らの問題としてとらえていって欲しいと願っています。毎日消費生活の中にどっぷりとつかり、自分の食べているものの原材料が、どのようにして誰の手によってもたらされたものかも気にとめないままに育ってきている多くの中学生に、視点を換えて生産者に目を向け、農についての理解を深め、出来れば農の価値に目覚めさせたい。これが私たちの願いです。そのために、いま私たちは、各中学校の農業体験学習の導入に少しでも役立つことができるよう、支援していきたいと考えています。(続きを読む

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