農業体験学習ネット
タイトル

作物の栽培における土壌的要素

 作物の生育を支えるのは土壌です。作物は土壌に根を張り自分の体を支えます。作物の生育に適した土壌には物理性・科学性・生物性の3つの要素が必要です。

■ 物理性

 物理的な要件は、固相(土)・気相(空気)・液相(水)のバランスがおおよそ4:3:3に比率で構成されている必要があります。また土壌には腐植(有機物)が5%以上含まれているのが理想です。作物の根は土壌の通気性が良いことや保水性があることで、健全に伸長することができます。

■ 科学性

 科学的な要件は、バランスのとれた養分が含まれていることです。肥料の3大要素としてチッソ・リン酸・カリ。多量要素としてカルシウム・マグネシウム・イオウ。微量要素として鉄・亜鉛・銅・マンガン・ホウ素・モリブデンが必要です。この土壌に必要な要素のバランスが崩れたとき、作物の生育が不安定なります。

 土壌のpH(水素イオン指数)も重要です。pHは7.0が中性です。作物によって好適酸度は違いますが、おおむねpH5.5〜pH6.5の範囲が適しています。日本の土壌は雨が多くて石灰分が流されやすく、また作物は石灰分を吸収しやすいため、徐々に酸性に傾きます。石灰質肥料を施すことで酸性を矯正することが必要です。

■ 生物性

 生物的な要件には土壌微生物と土壌小動物の役割があります。ミミズをはじめとする小動物は、植物の遺体を食べて分解し排出します。その排泄物は土の粒子をつなげ団粒化させます。その他土壌微生物も動植物の遺体を分解する役割もち、腐植の増加に寄与します。

 物理性・科学性・生物性の3つが相互に関係し合って、土壌の粒子が団子状に固まり、空気と水が存在できる隙間がある状態のことを「団粒構造」と呼びます。対して「単粒構造」とは、物理性が単調で科学性や生物性の乏しい土のことを意味します。団粒構造の土壌に改良することを「土づくり」と呼び、堆肥を施したり深く耕したりして改良を加えます。

団粒構造 単粒構造

団粒構造

単粒構造

肥料の3大要素

チッソ
主に作物の葉や茎など体作りをする要素。細胞の原形質の約半分はチッソ化合物です。作物の栽培には量的に最も多く必要とする要素ですが、多くあたえすぎると軟弱になり、病気に弱く、また実りも悪くなります。

リン酸
生命活動に関係が深い要素です。生物のエネルギーはリン酸化合物で作られます。花作り(実を付ける)に大切な養分です。養分として存在していても酸性土壌では作物に吸収されないため、堆肥などの有機物と一緒に使用することが必要です。

カリ
各種の酵素の活性を高める作用があります。作物の生長の盛んな部分に多く含まれます。病気に対する抵抗性を増し、植物繊維を固くします。カリはカルシウム(石灰)・マグネシウム(苦土)と拮抗作用があり、バランス良く施さなくてはいけません。

多量要素

カルシウム
作物の細胞と細胞を結合する働きがあります。不足すると根や新芽の生長点が枯死します。カリに次いで作物に良く吸収される養分で、そのために土壌が酸性に傾きます。

マグネシウム
葉緑素の構成要素として、また各種酵素作用の活性化に重要な要素です。

イオウ
タンパク質の粗成分として重要なアミノ酸などの構成要素です。各種の有機化合物をつくり、成長の調節という重要な生理作用に関与しています。

微量要素

鉄、亜鉛、銅マンガン、ホウ素、モリブデン
土壌に含まれるのは微量ですが、作物の生理作用に深く関わります。この微量要素のバランスが一つでも崩れると生育が悪くなります。土壌が極端な酸性やアルカリ性になることでも、微量要素が吸収されにくくなります。

土の生い立ち

 原始の地球の陸上は、岩石などが風化しただけの生物に乏しい環境でした。そこへ最初の植物としてコケ類が生え、やがて高等植物が繁殖します。植物は生死を繰り返し、土壌中には微生物も増えはじめます。枯れた植物は微生物と小動物たちも関与し分解が進みます。植物が繊維を残した状態まで分解したものを腐植と言います。非常に長い年月を経て腐植は積り重なり、腐葉土の層を作ります。人はその腐葉土と砂や粘土といった単粒構造の土を耕して、肥沃な表土を作り上げてきたのです。

続きを読む

トップページへ
 
農業体験学習ネット
このコンテンツのすべての画像、文字データについて無断転用・無断掲載をお断りいたします