【一覧に戻る】

3 農業体験受入農家・団体実態調査

5 鴨川市総合交流ターミナル「みんなみの里」

(1)受け入れ場所に関する事項

ア)最寄り駅
 JR安房鴨川駅〜鴨川日東交通バス金束(こづか)、平塚行きで25分、バス停:長狭中学校前下車、徒歩5分

イ)体験メニュー
 陶芸、竹細工、ワラ細工、草木染め、クラフト教室などのほか、田植えなど季節限定の体験もある(要予約)。これ以外にも、果樹栽培を始め、時期が合えば様々なリクエストに応じてもらえる。

ウ)地域の特色
 鴨川市の中心街より西へ国道410号線沿い嶺岡山の麓、緑豊かな長挟の山あいに都市と農村の交流施設として、平成11年3月に開設された。施設内には地元で取れた農産物や加工品の販売、伝統工芸品などの紹介、郷土料理レストラン、各種体験コーナー(陶芸・田植え・稲刈り・酪農・ガラス工芸・草木染め・花摘み・山菜摘み・手焼きせんべい)もある。鴨川市の文化や郷土資料を紹介する展示室や、鴨川市をはじめ、房総のふるさと情報を伝える情報コーナーがあり、入り口には高さ7mの「かかし」の看板が安らぎと憩いを提供する。

エ)組織の属性等
 代表者:佐久間知巳(サクマトモミ)鴨川市農林業体験交流協会会長
 担当者:清水宏(シミズヒロシ) 鴨川市農林業体験交流協会事務局長
 組織の属性:任意団体
 連絡先:〒296-0112 千葉県鴨川市宮山1696 鴨川市総合交流ターミナル「みんなみの里」  TEL:0470-99-8055
 FAX:0470-99-8044
 農業体験学習支援の内容:情報・教材提供、相談窓口、講師派遣、体験学習受入、竹細工
 受入可能な人数:160人/1日 田植、稲刈り等は160人可。その他は20〜40人/回

(2)受け入れ場所(組織)の特色に関する事項

ア)交通の便
 JRを利用した場合、安房鴨川駅からバスで25分かかり、本数も少ないので便利とはいえません。十分なバスの駐車スペースがあるので、借り上げバスなどのご利用が便利です。

イ)特にユニークだと思われる組織・体験メニュー等
 農業体験学習支援では、利用者の希望に応じて、柔軟に体験メニュー等をアレンジしています。さらに、体験学習を通して得られる教育的価値(意味)を理解させようとしており、きわめてユニークです。

(3)問い合わせ事項の内容等

ア)学校から
 日程調整
 雨天時の代替の体験活動が可能かどうか。
 移動手段、収穫物の運搬はどうするか(バス、トラック)等

イ)家族から
 家族でも、体験活動ができるかどうか。
 できるとしたら、どんなことが可能か。

(4)利用者の声

ア)米軍横須賀基地の家族
 縄打ちや稲束づくりを体験して、日本の「手わざ」のすばらしさ、巧みさに感動したそうです。

イ)立川市立菅野小学校
 この小学校は、学校田をつくり、田植えー中間管理ー稲刈りを体験させています。稲刈りと同時に「収穫祭」も行なっている。こうした校内の活動では、比較的簡単に稲を育てることができます。一方、「学校外」(棚田)での体験を通して、実際にはたいへんに苦労が多いものだということを確かめることができたとのことでした。

(5)学校の先生の声、要望等

ア)学校側への要望
■インターネットだけで、施設・体験学習内容の調査するのではなく、実際に来て、打ち合わせをして欲しい。
■ハウス栽培、酪農、米作りなどの農家体験も可能ですが、これらはグループ別の活動となります。全員が体験することはできません。また、仕事によって仕事量・質に違いがあります。受け入れ側の事情もあるので、学校側の希望どおりにはいかないこともあることをご了承ください。

イ)学校の教員の声
 体験活動を通して、教員側の意識改革が見られました。

(6)意見交換

ア)農業体験学習の位置づけ
 農業体験学習を通して、「子ども達に何を学ばせたいか」が不明瞭であると、受け入れ側としては大変に困ります。農業体験学習を年間指導計画(カリキュラム)にきちんと位置づけ、それを受け入れ側に説明し、それに応じた対応をしてもらうように努力が必要です。とくに、農業体験学習はイベント的に行なうのはあまり意味のあることとはいえません。

イ)どうしてここを選んだのかを明確に
 数ある農業体験学習施設の中から、学校側が施設を選択するわけです。選択権は学校にあるのだから、どうしてここを選んだのかを明確にしておく必要があります。例えば、「農業学習のカリキュラムに位置づける」や、「地場産業を学ぶのに最適である」、「日本の米作りと自給率をどうするか」といったねらいを明確にすることが重要です。

ウ)技術ではなく考え方を学ぶ
 農業体験学習を通して得られるのは、農業技術(スキル)ではなく、農業の考え方です。思考を深化させる切り口を農業体験学習から得てもらいたいです。

(7)受け入れに関して特に留意(注意)していること

ア)グリーン・ヘルパー(農業支援者)育成の観点から
 すべての体験学習を、次代を担う子ども達に、グリーン・ヘルパー(農業支援者)を育成するという観点から企画・教育すると捉えています。
 稲作については次のような点を生徒達に考えさせています。みんなみの里では「棚田」で田植えや稲刈りなどを実践しています。「棚田」は、地形的に<ほ場整備>された平地の水田と異なり、機械化がむずかしく、作業のほとんどを人力に頼らなければなりません。そこで、「田植え」だけをイベント的に取り扱わせることはせず、いわゆる中間管理、草取りなどもあえて体験してもらい、「棚田」で米作りをする苦しさ、稲刈りのよろこびを味わわってもらいたいと思っています。

イ)旅行エージェント任せは困る
 学校側から旅行エージェントに任せっきりで依頼されると困ります。例えば、名古屋の学校が旅行エージェントに依頼して田植えの体験を5月に実施したいと希望してきましたが、この地域では4月中に田植えをするので受け入れられませんでした。自然相手の農業の本質を理解するためにも、予め学校側から直接相談をしてもらいたいです。

ウ)リピーターを増やす工夫
 田植えや稲刈りだけでなく、果樹栽培と組み合わせて、1年間に何回も繰り返し体験してもらえるような工夫をしています。またグリーン・ヘルパー(農業支援者)の育成にもつなげていきたいと思います。

エ)全国農業観光協会とのタイアップ
 全国農業観光協会の「ふるさとクラブ」とタイアップして事業を展開しています。

オ)厳しさのある指導
 自然相手の仕事なので危険な部分もあります。たとえば、まむしが出ることもあれば、鎌の使い方によって思わぬ怪我をすることもあるのです。緊張感がないと危険なので、ある程度の厳しさをもって指導するようにしています。

(8)調査員の所見

 みんなみの里の農業体験学習は、どこでも受けられる、ありきたりな体験学習ではなく、よく煮詰めたアイディアが随所に生かされています。これは、みんなみの里の運営が、グリーン・ヘルパー(農業支援者)の育成に重点が置かれ、他の団体とは違った視点をもっているためです。自然相手の農業の本質を理解すること、これは校内の学校田や<ほ場整備>された水田では、学びにくいものです。その点、棚田という自然条件を生かしたみんなみの里の農業体験学習は、教育的価値が高いといえるでしょう。担当者の「本物の体験活動がどこなら可能なのかを見極める目を教員はもって欲しい」という言葉が印象的でした。

▲このページトップ 【一覧に戻る】
 
このコンテンツのすべての画像、文字データについて無断転用・無断掲載をお断りいたします