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2 必要情報等に関する小・中学校アンケート調査結果

1.調査方法及び回答数等

(1)調査は全国の小・中学校の5%にあたる小学校1,132校、中学校519校を任意系統抽出法で選定し、別添のアンケート用紙を郵送する方法で行ないました。
(2)アンケート時、農業体験学習を既に実施している学校の割合は、小学校で77%、中学校で34%でした。この結果は、平成15年に行なわれた別の調査での結果、小学校79%、中学校28%とほぼ同じでした。
(3)農業体験学習の実施を検討中の学校、小学校9校、中学校11校は、サンプル数としてやや少ないものの、「既に実施している学校」および「当面実施の予定のない学校」については十分な数が集まりました。

2.調査結果

(1)学校が求めている知識・情報

 アンケートの問1は、農業体験学習を実施する際に必要となる知識・情報10項目の中から、現状で不足していると思われるものを複数回答してもらいました。また、問2では、農業体験学習の実施状況を「1既に実施している」(以下、「既実施校」)、「2実施を検討している」(以下、「実施検討校」)、「3当面実施の予定はない」の3項目で回答してもらいました。表1および表2は、問1の結果を小中学校別にクロス集計したものです。

表1 小学校が求める情報等
  既実施校 実施検討校 当面実施予定のない学校
農業全般に関すること 25 18 14
受け入れ先に関すること 3 9 13
指導者や相談相手に関すること 10 9 10
農業体験学習の効果に関すること 5 9 8
標準的な実施方法に関すること 14 9 10
必要とする時間に関すること 13 18 15
危険性や安全性に関すること 6 9 5
準備に関すること 15 9 11
費用に関すること 7 9 10
受入先等の信頼性に関すること 1 0 2
その他 1 0 1


表2 中学校が求める情報等
  既実施校 実施検討校 当面実施予定のない学校
農業全般に関すること 18 16 20
受け入れ先に関すること 10 22 13
指導者や相談相手に関すること 6 11 6
農業体験学習の効果に関すること 10 3 7
標準的な実施方法に関すること 11 11 8
必要とする時間に関すること 11 19 16
危険性や安全性に関すること 4 5 6
準備に関すること 12 5 11
費用に関すること 11 5 8
受入先等の信頼性に関すること 2 0 3
その他 2 3 1

 1学校当たりの平均複数回答数は、既実施校で少なく、当面実施予定のない学校でやや多くなっています。この傾向は小学校、中学校ほぼ同じです。実施を検討中の学校は、相対的に数が少ないため、小学校と中学校とで数値にばらつきがあるものの、複数回答の数が多い傾向となっています。この結果から、農業体験学習を既に実施している学校以外の学校(先生方が仮にこれから始めようと考えた場合)では、より多くの種類の情報を求めていると考えられます。

図1 小学校の求める情報の種類

図2 中学校の求める情報の種類

 上の図1は、表1の回答総数に占める10項目それぞれの割合をグラフ化したもので、図2は表2に関して図1と同様にグラフ化したものです。
 小学校も中学校も、不足している知識・情報として「農業全般に関すること」をあげている学校が多くなりました。この項目以外では、小学校の既実施校で、「準備に関すること」「標準的な実施方法に関すること」「必要とする時間に関すること」をあげている学校が多く、実施はしているもののやや手探りの状況を感じさせられる回答となっています。一方、実施を検討中の学校や当面実施の予定はないと回答した学校では、「必要とする時間に関すること」の回答割合が最も多く、カリキュラムの中での時間の制約がネックとなっていると思われます。
 中学校については、小学校のそれとおおよそ同様の回答パターンとなっていますが、実施検討校は「農業体験学習の効果に関すること」は少なく、「受け入れ先に関すること」と「必要とする時間に関すること」をあげた学校が際だって多くなりました。このことは、具体的に実施を検討する段階になれば、効果を認めた上で次の段階の受入先の情報や農業体験学習に割りあてる時間に関心が移っているためと思われます。

(2)農業体験学習の実施率

 本アンケート調査における既実施校の割合は、小学校77%、中学校34%でした。実施を検討している学校を含めれば、小学校78%、中学校38%となり、小学校についてはなんらかの形で農業体験学習が定着していることがわかりました。一方、中学校では、実施率は低く、受入先や時間等を考慮した農業体験メニューの提案等が課題になっているようです。

図3 農業体験学習の実施率

(3)農業体験学習ネットの周知度

 このアンケート調査では、問3で四つの選択肢(1利用している 2知ってるけど利用していない 3知らなかった 4その他)を用意して農業体験学習ネットの利用状況を尋ねました。また、選択肢の「2知ってるけど利用していない」と回答した学校については、その理由(1現在農業体験学習は実施していないから 2既に農業体験学習を実施しており、特に必要性をかんじないから 3一度見たら(コピーしたら)十分だから 41〜3以外の理由)も尋ねています。
 問3の回答は3に集中し、小学校については2が10.2%、3が89.5%、中学校については1が0.4%、2が7.4%、3が92.3%と周知度は低いことがわかりました。
 2の「知ってるけど利用していない」理由については、小学校では2と回答した学校の7割が「既に農業体験学習を実施しており、特に必要性をかんじないから」と回答しているのに対して、中学校では8割が「現在農業体験学習は実施していないから」となっています。1〜3以外の理由としては、「時間がない、見てる暇がない」等の記述が散見されました。
 このアンケート調査の結果からみて、これまでの周知方法(パンフレットの郵送)では限界があると考えられ、広報のあり方を別途検討する必要があるようです。ただ、別途整理した自由記載欄には「今後利用してみたい」「知らなかったが一度見てみたい」等の意見が少なからずあり、このアンケート調査が広報の一助となった一面があることを付記しておきます。

(4)自由記載欄の声

 自由記載欄の記載内容については、以下に整理しました。必要性は理解するものの学校の方針となっていない現実、行政機関の支援に対する期待等、数としては少ないものの、真摯な意見、提言等がありました。

3.農業体験学習ネット小・中学校アンケート自由記載欄まとめ

  1. ぜひ活用したいと思います。(新潟県下小学校)
    ・一度是非利用させていただきたいと思います。(大阪府下小学校)
    ・今後はインターネット利用の活用を考えていきます。(宮崎県下小学校)
    ・今後の農業体験学習の参考にさせていただきます。(長野県下小学校)
    ・これから利用できるものはしていきたいと思います。今後も一層の充実を期待しています。(山形県下小学校)
    ・今後活用していきたいと思います。(大阪府下小学校)
    ・このアンケートを機にネットにアクセスしてみました。今後機会があれば利用したいと思います。(宮城県下中学校)
    ・農業体験学習ネットの存在がわかりましたので、今後このネットの活用を検討していきたいと考えております。(岐阜県下中学校)
  2. 本校は振興住宅地にあるため農業体験のある児童は少ない。
    自然環境の保護や食文化の伝達・地産地消など農業に関することがいろんな方面で話題となっている。そこで学校では、諸条件が整ってはいないが、できる範囲で作物を育てる体験を通して、作物を育てる喜びを味あわせたり、食べ物の大切さや安全性などについても考えさせたりしていきたいと思ってる。機会があれば農業体験学習ネットを利用してみたいと思う。(岡山県下小学校)
  3. 知らなかったので一度見ようと思います。(滋賀県下小学校)
    ・知りませんでした。(熊本県下小学校)
    ・まだそのページを見ていないので、これからそのページを見てみたいと思います。(鳥取県下小学校)
    ・初めて知ったので、これから職員にももっと知らせておきます。(静岡県下小学校)
    ・これから見てみたいと考えています。(埼玉県下中学校)
    ・知りませんでした。見てみたいと思います。(北海道下中学校)
  4. 時間の削減に加えて、個々の児童の学力の確実な定着、心の教育等々、現場が抱える課題は多い。体験学習の意義効果は十分理解できるが、すべてを体験させることは物理的に不可。自校の教育課程検討委員会で、子供のために最も大切な課題を明確にし、年間計画を設定し、発展課題は地域の生涯学習関係機関を始めとする地域の教育力に負うところ大です。(千葉県下小学校)
  5. 農業体験ができる施設を、観点を入力して検索できるシステムはとても有効だと思います。しかし、実際に検索して表示されたものは文字情報だけであるため、もう少し学校現場からみて魅力的な情報が追加されるとよいと思います。 (例:交通アクセス→地図情報。施設情報→静止画を追加する。指導体験の実習内容→静止画、動画で活動プログラムをPFD化する。)受入、出前授業事例や参加者の声は、臨場感があってとても有効だと思います。体験学習AtoZのページは有効ですが、文字情報だけになっているところが多いので、見せ方を工夫すると、とてもよいものになると思います。(例:文字を大きくする。静止画像を入れる。イネの栽培ページは学級に掲示できるようなものにしたり、子供達に配布できるようなワークシートを追加する。)その他、専門家に質問ができるようなページを作ると活用率がさらに高まると思います。(静岡県下小学校)
  6. ・地域の皆さんで農地を貸しくださる方や、子どもたちや学校に体験学習を受け入れてくださる方の情報。(高知県下小学校)
    ・農家の方々の詳しい情報や実践資料があるとよい。(愛知県下中学校)
  7. 指導要領へのはっきりとした位置づけを、働きかけるとよいかと思います。必要性に関しては十分あると思います。(神奈川県下小学校)
  8. ・学校から近くて安全に行ける農地の協力があれば、すぐ実施できる校区です。農村地域ですので学校の人材マップ等で十分できると考えます。(香川県下小学校)
    ・アンケートが意図し、浮かび上がらせようとするイメージはわかるのだが、本校は準農村地帯にあり、答えにくい部分があった(宮城県下中学校)
  9. 農業体験に関する地域別体験例とその進め方、農業体験を進めていく上での(作物を育てていく過程での)相談窓口、簡易に作物を育成できるような例を具体的に紹介してほしい。(群馬県下小学校)
  10. 今のような時代だからこそ、土に親しむことは大切と考えます。交流学習で稲刈り作業に取り組ませていただいた時、太陽の恵みを受けた稲穂の暖かさを感じ、元気をもらいました。農業体験の必要性を実感しました。土から生気をもらい、土にかえる人間です。農業を大切にし、自給自足率を高めたいものです。スローフードの運動がおき、地産地消の動きも大切にされ、食教育も見直されています。とても良いことだと思います。台風で被害を受けた農家の方々の言葉には、心うたれます。農村に生を受け、土とともに生きてきた人々の土に根ざした生き方、考え方には、本当に心うたれ、感銘を受けます。(大分県下小学校)
  11. 育てる喜びや収穫の喜びは大切であり、体験させてあげたいと思いますが、子どもたちが学ぶ内容と時間には限りがあります。機会があれば学び体験させたいと思いますが…。(東京都下小学校)
  12. 農業体験学習ネットについて知らなかったのにすみません。日本の農政について疑問をもっていることといえば、食糧自給率の悪さと、農より食に重点を置いた教育の重視が最近目立ちます。「食教育」という取り組みが目立ちます。これは、農産物の自由貿易率を上げようとする海外の圧力の影響なのでしょうか。規制緩和の中で「教育」の分野に「株式会社化」があり、「農業」の「株式会社化」が進んでいるそうです。先日、テレビ番組で村ぐるみで農業の株式会社化の成功例が紹介されていました。このような、新自由主義的、競争原理や市場化が表面化している時代に、農業体験学習ネットは、どのような教育原理、哲学をもっておられるのでしょうか。(大阪府下小学校)
  13. 農業体験学習は地域との連携・協力が不可欠だと思う。人的な交流をはじめ施設の利用を進めていくには行政機関が間に入って体験学習を推進していただけるとありがたい。(三重県下中学校)
  14. 本校は沼津市の南東端に位置し、学校の周辺は田園風景があります。そうした中、地区の行事である青田刈りーお飾り作り体験をしています。今のこうした時代ですので農業体験をもっとさせたい気持ちはあります。教育課程の中で検討しています。(静岡県下中学校)
  15. 最近漁業体験学習を実施している学校からの情報は受けていたが、農業体験は今回が初めてであった。(静岡県下中学校)

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