第3章 >> 1. 体験学習のねらいの明確化

(1)体験学習のねらいの明確化

 「自然体験の少ない今の子どもたちに、少しでも多くの経験をさせ、学び取らせたい」、「日本の国土の3分の2を占める森林について学ぶ機会が必要だ」等などと、多くの教育関係者たちが子どもたちの学びのために、森林・林業体験学習に期待を寄せています。実際、体験を通して得たものは、子どもたちにとってもかけがえのない財産となっています。また、「総合的な学習の時間」のねらいとされている「生きる力」の獲得という観点からも、注目を集めています。

 ところで、この「生きる力」の獲得については、学校または教員によっても、その捉え方に多少の違いがあるようです。
 学校教育者(小中高教員)と野外指導者、計211人から収集した「生きる力を表す具体的で現実的な言葉」(のべ1701項目)を評定し、「生きる力」を構成する指標をクラスター分析したもの(※1) がありますが、それによると「生きる力」とは、心理的社会的能力、徳育的能力、身体的能力の3指標から構成される、となっています。

 世田谷区のA女子中学校では、上記の項目を参考にしながら、教員で「生きる力」について検討しました。その結果、普段の教科授業の中ではそれらを達成するための場面が不足していることから、「総合的な学習の時間」や「体験活動」に特に期待するものとして、「人前で自分の意見を言うことができる(自立性)」と、「分からないことは自分で調べる(判断力)の2点を重点的な目標とすることにしました。

 このようにして、子どもたちに何を達成してほしいのかという点を明確にしておくことで、結果に大きく差が出てきます。
 学校または実施の母体として、子どもたちに「達成すべき目標は何か」「何をつかみ取らせるべきか」を明確にし、その目標に向けて森林・林業体験のプログラムを構成する、事前・事後学習を行うということを、企画段階において明確化しておく必要があります。

 ※1橘直隆 平野吉直「生きる力を構成する指標」『野外教育研究第4巻第2号(通巻8号)』2001年3月


第3章 森林・林業体験学習の取り組み方

1.体験学習のねらいの明確化
(1)体験学習のねらいの明確化

2. 企画の立て方とプログラムの組み方

3. 事前・事後学習の必要性

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