第1章 >> 5. 世界の環境と日本の森林・林業の深い関係

(1)日本の森林・世界の森林と地球環境

 1章の4-(1)でも見たとおり、森林には多面的な機能があります。
 これらの機能は日本の森林だけではなく、世界のどの森林においても言えます。
 特に、人の手の全く入っていない「原生林」の重要性については、異論を持つ人はほとんどいないことと思います。多くの原生林は、貴重な生物種が多数生息しているという生物多様性の観点からも、保護価値が高いものとみなされています。
 また、世界的規模で進む砂漠化防止のために木を植える活動が行われていることなども、報道などでよく知られている通りです。森林は、地球環境を支えているのです。

 世界の森林も日本の森林も貴重さという点では同じですが、現実はどうでしょうか。
 世界有数の森林率の高さを誇る日本ですが、木材輸入の多さもまた、高い比率となっています。丸太(産業用材)で見てみると、日本は、中国、フィンランドに次ぐ世界第3位(2005年度)の木材輸入国です。用材ではなく家具など製品のかたちで入って来ているものを入れれば、より多くの木材を海外から輸入していると言えるでしょう。
 一方で、そのことが海外で環境破壊を引き起こしていたり、批判を浴びたりしていることも事実です。日本は、国土の多くに森林を持ちながら、それらを活かすこともなく、外国の森林(多くは原生林を含みます)を「安いから」というだけの理由で輸入しているのです。どうして安いのかといえば、それは伐採後、多くは現地の環境復元を行っていないからです。伐採で影響を受けた絶滅危惧種への配慮も無視しています。これらを経費として加えたとすれば、本来の価格は国産材よりもはるかに割高になるでしょう。しかし、温暖化問題とからめて、近頃では貴重な原生林を丸々伐り払ったその跡地に、経済的に見合う特定の樹種だけを植林し、「これは二酸化炭素の吸収源である」ということが言われたりしますが、これは何ら本質的な解決になりません。
 最近では森林の持続可能性ということも言われていますが、まずは日本の国内にある、手入れがなされることなく放置されている広大な人工林にこそ目を向けることが先決ではないでしょうか。


第1章 今なぜ、子どもたちに森林・林業体験が必要か

1. 子どもたちがイメージする森林と現実の森林の違い

2. 知っているようで実はよく知らない「日本の森林」

3. 学習テーマとして魅力的な「日本の林業」

4. 森林・林業の基礎的データ

5. 世界の環境と日本の森林・林業の深い関係
(1)日本の森林・世界の森林と地球環境
(2)戦後の産業植林と木材輸入
(3)環境面から見る日本の森林・林業の意義
(4)いい植林、悪い植林
(5)日本の林業の将来像〜グローバリゼーションの中の日本林業

このコンテンツのすべての画像、文字データについて無断転用・無断掲載をお断りいたします