第1章 >> 3. 学習テーマとして魅力的な「日本の林業」

(2)「林業」が日本を守る

 これまで「林業が……」と言ってきましたが、では、「林業」とは具体的にはどのようなことを行う仕事でしょうか。
 日本では、スギやヒノキといった建築に使える木が重要とされ、人工林の多くがこの2種類の木で占められています。これらの木は、植えてから伐採するまで、早くても40年から60年、場合によってはそれよりもずっと長くかかります。もちろん、産地の気候や、日照、土壌条件などで、これらの状況は大きく変わります。
 植えてから数年、木はまだまだ小さいですから、しっかりと面倒を見る必要があります。何年間かは競合する下草を刈り続け、その後には除伐、さらに間伐作業が始まります。除伐や間伐は、農業にたとえると間引きと同じ必要性を持つ作業で、いい木材を育てるためには欠かせません。さらに大きくなると、枝打ちといって、不要な枝を落とす作業があります。また、植栽後から、食害をするシカなど野生動物への対策も必要です。
 これらの仕事について、その成果がはっきりと分かるのは、今の林業者の子どもや孫、さらにその先の世代になってからのことです。

 これらの山の作業が行われることで、人工林の環境は質的に大きく向上します。土壌の流出を防ぎ、土砂災害などの危険性を減らし、利水に役立つ等、木材生産だけに留まらない利点がたくさん存在しているのです。木を守り育てているだけのはずが、いつしか日本の国土と水までも守っている、というのが林業の仕事です。誇張でも何でもなく、林業は日本という国を守っている産業だと言えるでしょう。


第1章 今なぜ、子どもたちに森林・林業体験が必要か

1. 子どもたちがイメージする森林と現実の森林の違い

2. 知っているようで実はよく知らない「日本の森林」

3. 学習テーマとして魅力的な「日本の林業」
(1)食料だけではなく木材にもある「自給率」
(2)「林業」が日本を守る
(3)林産物って何?〜身近な「もの」から学習意欲を引き出す〜
(4)樹種とその用途

4. 森林・林業の基礎的データ

5. 世界の環境と日本の森林・林業の深い関係

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