第1章 >> 2. 知っているようで実はよく知らない「日本の森林」

(3)森林・林業体験における教員・指導者の役割とプログラム例

 多くの場合、親や教員といった人たちも、森林や林業についてあまり詳しくはありません。もちろん、本来であれば、詳しいに越したことはないでしょう。けれども子どもの学びを充実させるためにできることは、森林や林業に詳しいかどうかとはまた別になります。
 教員ができることは、子どもの学びのための環境づくりと安全の確保です。体験学習の主役は子どもです。教員は後方支援者として、現場で指導にあたる林業家や森林インストラクターといった専門家との調整を行い、また安全確保に気を配るというかたちで、子どもの学びを支える必要があります。子どもは、教員以外の大人からの学びに好奇心を刺激され、新たに学び、たくさんの経験や楽しみを得ることができるでしょう。それをしっかりと方向付けるのが、教員や教育にたずさわる者の役割だと考えましょう。
  また、事前学習や事後学習(ふりかえり)を適切に行うなど、教員でないとできないことがあるのも事実です。
 
●子どもたちに学ばせるべきことなど
1) 自然環境保全上の森林のはたらき(保水力や浄化能力、土壌流出の防止など)
2) 森林と人間生活のかかわり(森と食文化、燃料源、縄文文化、癒しと景観、他)
3) 再生可能な資源としての森林
4) 種の多様性としての森林環境
5) 市民運動としての森林保全活動など
6) 自然と自分とのかかわりに対する「気づき」(体験を通しての自然との対話、他)

●プログラムの事例など
1) 林業家への聞き取り調査
2) 近所の林と林業地との比較観察
3) 里山の雑木林を対象とした自然環境学習(枯れ枝の整理など雑木の手入れの体験、自然体験に特化したハイキングや山歩き、ほか)
4) 産業林地での林業体験(植栽、下草刈り、徐伐、間伐、枝打ち、ほか)
5) 校庭、公園、あるいは林地など自然環境内でのネイチャーゲームや自然観察

●得られる教育的効果の一例
1) 実際に自然体験や作業をすることで事前学習の内容が実証され、達成感を得られる
2) 自然や環境、人に対して役立っていることを実感し、次の行動へとつながる
3) 教員以外の大人から学ぶという経験が感謝の気持ちや豊かな気づきをもたらす
4) 体験を通して協同や連帯の意識を育む
5) 野外での活動の楽しさそのものがかけがえのない経験となる
6) 体験を通しての学びが、野外での危機回避能力を高めるきっかけになる
7) 事前学習と現実との差に新たな疑問や好奇心を持ち、次の学びへの手がかりとなる
8) まとめや報告を行うことで、伝える力を培う。自分の体験をふりかえることによる学びの深まり、得られた知識を他者と共有することによる深まりが得られる。

 これらはプログラム例、効果等の一部です。これらの項目は、子どもの理解度や興味にあわせた提示をしていくとよいでしょう。


第1章 今なぜ、子どもたちに森林・林業体験が必要か

1. 子どもたちがイメージする森林と現実の森林の違い

2. 知っているようで実はよく知らない「日本の森林」
(1)天然林と人工林、里山林って何?〜子どもたちが勘違いしやすいこと〜
(2)地域を学ぶという視点から見た森林・林業体験の魅力
(3)森林・林業体験における教師・指導者の役割とプログラム例

3. 学習テーマとして魅力的な「日本の林業」

4. 森林・林業の基礎的データ

5. 世界の環境と日本の森林・林業の深い関係

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