第1章 >> 2. 知っているようで実はよく知らない「日本の森林」

(1)天然林と人工林、里山林って何?〜子どもたちが勘違いしやすいこと〜

 1章の1-(2)述べた通り、日本の国土の67.4%が森林です。面積にして、約2,512万ha(2005年 林野庁統計)もの広さになります。その森林を大きく分けると、いわゆる天然林と、木材を産出するために植林を行っている人工林、この二つに分けられます。また、それ以外の未利用地域なども若干存在しています。
 天然林と似た用語として原生林もありますが、これは歴史上、人の手が全く入ったことのない森林を指します。原生林とは言い切れないものの、現在においては人手が入らずにそのまま長い年月が経過している森林、それが天然林です。日本の場合、原生林に見える森林であっても、詳しく見ていくと、過去を遡ること一度か二度は、人の手が加えられている例がほとんどだと言われています。

 そして人工林ですが、これは始まりから人間が関与しています。植え、育てて、伐って、暮らしに活用する木々、それらを育てる森林が人工林です。森林を構成する樹種は単一の種類が中心となり、現在、その多くはスギやヒノキといった針葉樹です。
 日本の森林面積のうち、この人工林が4割を占めています。人工林は、言わば木の畑とも言うべき存在ですから、人の手を欠かすことができません。しかしながら、木を伐らないのが環境保護だと思い込んでいる人が大人の中にも大勢います。これは大きな誤解です。人工林は、最初から最後まで人間が面倒を見る必要のある森林なのです。



  また最近、「里山」がクローズアップされる機会が増えました。里山とは、田畑など人の暮らしのそばに存在する二次的な自然環境を保つ森林です。薪炭材を取る、落ち葉を集める、あるいは村を土砂災害などから守る、きのこなど森の恵みをいただく、といったかたちで長年にわたり利用してきた場所ですが、ここも人の手が適度に入ることでその自然環境をより豊かにしてきました。人工林と違い、単一樹種による森ではなく、広葉樹を中心とした複数の樹種で構成されています。動物等の生物種の数が多いのも特徴です。
 子どもたちが「森って何?」という疑問を抱いた場合、最低限でも天然林と人工林の違いが理解できるよう、指導したいものです。


第1章 今なぜ、子どもたちに森林・林業体験が必要か

1. 子どもたちがイメージする森林と現実の森林の違い

2. 知っているようで実はよく知らない「日本の森林」
(1)天然林と人工林、里山林って何?〜子どもたちが勘違いしやすいこと〜
(2)地域を学ぶという視点から見た森林・林業体験の魅力
(3)森林・林業体験における教師・指導者の役割とプログラム例

3. 学習テーマとして魅力的な「日本の林業」

4. 森林・林業の基礎的データ

5. 世界の環境と日本の森林・林業の深い関係

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