農業体験学習ネット
タイトル
TOP農への関心の高まりと新たな光の中で! > 1 農を取り巻く現状(1/2)

3 国の産業としての「農業」の意義

ア 農業の多面的機能と農村資源

 我が国の農業と農村は、食料の安定供給をする役割だけでなく、その生産活動を通じた国土の保全、水源の涵養、自然環境の保全、良好な景観の形成、文化の継承等様々な役割を有しており、これらの役割による効果は、地域住民をはじめ国民全体の暮らしにおいて重要な役割を担っています。

 また、農業は、農山漁村地域のなかで林業や水産業と相互に密接なかかわりを有しており、特に、農林水産業の重要な基盤である農地、森林、海域は、相互に密接にかかわりながら、水や大気、物質の循環に貢献しつつ、様々な多面的機能を発揮しています。

イ 日本農業の現状認識及び食糧問題

 日本の食糧供給は、6割以上を海外からの輸入に依存することで成り立っています。狭小な国土のもとで豊かな食生活を送るためには、海外の食料にある程度依存することは止むを得ない面もありますが、これ以上依存度を高めれば、食料供給の不安定感が高まります。

 現在、水田をはじめとする国内の農業資源は十分に活用されることなく、耕作放棄地や不作付地が拡大しています。また、輸入食料は特定の少数の国に依存しているため、わが国の食料供給の構造が相手国の供給余力等に左右されやすいことを認識する必要があります。

● 自国の耕地の2.7倍に相当する1,200万haもの耕地面積を海外に依存

 我が国の、主な輸入農産物の生産に必要な耕地面積は1,245万haと試算され、我が国の耕地面積の2.7倍に相当する耕地を海外に依存した形になっています。

 このため、不測の事態に備え、平素から農地や農業用水を確保しつつ、農業の担い手の育成・確保、農業技術水準の向上等を図り、食料供給力を強化しておく必要があります。

表−6 主な輸入農産物の生産に必要な海外の作付面積

(2003年〜05年平均)

小麦とうもろこし大豆なたね・大麦等畜産物
(飼料穀物換算)
海外に依存している作付け面積(試算)(ha) 208
(21)
182
(0)
176
(14)
279
(7)
399
(90)
国内耕地面積
(2007年)ha
253212465

資料:農林水産省 食料・農業・農村白書

注:( )内は日本国内での作付面積(2007年)

ウ 国内農業資源の有効活用

 食料の未来を確かなものにするためには、何よりも国内の農業資源を有効活用する必要があります。

 そのためには、耕作放棄地を解消するなど国内の限りある農地を十分活用することが大切です。農業者の声に耳を傾けるなどにより、そのための条件をあきらかにし、対策を講じる必要があります。

 また、しっかりした技術と高い意欲を有する農業経営を育てるとともに、こうした農業経営を中心に多彩な人々が農の営みに参画できる仕組みを構築することが求められています。更には、農業技術の開発・普及や農業経営の教育を通じて、人材を育てることも重要です。

図

エ 食料輸入をめぐる状況

 人口に比べ農地が狭く平坦でないといった不利な国土条件を有する我が国では、食生活の変化に伴い消費が増大している畜産物や油脂類の生産に必要な、飼料穀物(とうもろこし等)、油脂原料(大豆、なたね等)の十分な生産が困難であり、輸入に依存せざるを得ない状況があります。

・近年、食料の需給をめぐる世界の情勢にいろんな変化が生じている中で、穀物や大豆の国際価格が高騰し、国内の食料品価格や原料調達に大きな影響を与えています。

・また、食品に対する消費者の信頼を揺るがすような事件が頻発しています。

オ 食料自給率低下の背景

 食料自給率の低下の要因は、国内生産の縮小というよりも、食生活の大きな変化により、国内で自給可能な米の消費量が減少する一方、国内で生産が困難な飼料穀物や油脂原料(大豆、なたね)を使用する畜産物や油脂の消費が増加したことが大きな原因です。

・食料自給率とは、国内の食料消費が国内生産でどの程度賄えているかを示す指標であり、食料の安定供給という観点から一般的に供給熱量ベースの食料自給率が用いられています。また、品目ごとに、重量ベースで表す品目別自給率も算出されています。

カ 食生活の変化と食料自給率の変化

 食生活の変化を食料消費の推移で比較しますと、昭和40年と現在を比べてみますと。

・米については、1日5杯だったものが、1日3杯に減少。
・牛肉については、月1回だったものが、月4回に増加。
・植物油については、1.5kgボトル年3本だったものが、年9本に増加。

となっているなど、食生活の変化とともに、品目別の食料消費量が大きく変化してきたことがわかります。このような変化が、食料自給率の低下した要因となっています。

キ 食生活の変化をめぐる様々な問題

・1980年ごろの我が国の食料消費については、米、野菜、魚、大豆を中心とした伝統的な食生活のパターンに、肉類、牛乳、乳製品、油脂、果実が豊富に加わって、多様性があり、かつ栄養バランスが優れたいわゆる「日本型食生活」を実現していました。

・しかしながら、米の消費量が大きく減少する中で、食料自給率が大きく低下するとともに、脂質の摂取過多など栄養バランスの崩れによる国民の健康への影響が懸念される状況になってきています。また、食習慣の乱れなども大きな問題となってきています。

ク 農業労働力の現状

● 昭和一けた世代のリタイアにより農業労働力の脆弱化の進行が懸念

・我が国は人口減少社会に入る中、労働力人口は1998年の6,793万人をピークに減少局面を迎え、2007年には6,669万人となり、2030年(24年後)には6,180万人になるとの試算(厚生労働省)も示されています。
・農業分野では、現在、農業労働力の主力となる基幹的農業従事者が65歳以上で6割となっており、近い将来、昭和一けた世代をはじめ我が国農業を支えた高齢者の多くが引退することが見込まれ、農業労働力の脆弱化の進行が懸念されています。

注:基幹的農業従事者とは、農業就業人口のうち、ふだんの就業状態が「仕事が主」である世帯員をいいます。

ケ 国民経済における農業の地位

 国内総生産に占める農業総生産は、昭和35年当時8.6%を占めていましたが、年々低下をしています。平成に入ってからは、1%台で推移していましたが、平成16年からは1%まで減少しています。

図

表−7 国民経済における農業の地位

 昭和35
年度
昭和45
年度
昭和55
年度
平成2
年度
平成10
年度
平成17
年度
国内総生産(10億円)
うち農業総生産
シェア(%)
(16,681)
1,435
(8.6)
(75,290)
3,293
(4.4)
(246,266)
6,242
(2.5)
449,997
7,854
1.7
504.843
6,455
1.3
501,173
4,859
1.0
輸出総額(10億円)
うち農産物輸出
シェア(%)
1,460
63
4.3
6,954
140
2.0
29,382
209
0.7
41,457
162
0.4
50,645
204
0.4
65,657
217
0.3
輸入総額(10億円)
うち農産物輸入
シェア(%)
1,617
622
38.5
6,797
1,511
22.2
31,995
4,007
12.5
33,855
4,190
12.4
36,654
4,632
12.6
56,949
4,792
8.4
総世帯数(千戸)
うち農家戸数
シェア(%)
20,860
6,057
29.0
28,093
5,342
19.0
36,015
4,661
12.9
41,036
3,835
9.3
46,812
3,291
7.0
49,566
2,848
5.7
総人口(千人)
うち農家人口
シェア(%)
94,302
34,411
36.6
104,665
26,282
25.1
117,060
21,366
18.3
123,611
17,296
14.0
125,860
11,308
9.0
127,768
8,370
6.6
総就業者(万人)
うち農業就業者
シェア(%)
4,465
1,196
26.8
5,109
811
15.9
5,552
506
9.1
6,280
392
6.2
6,514
308
4.7
6,365
252
4.0
一般会計国家予算額(億円)
うち農業関係予算
シェア(%)
17,652
1,386
7.9
82,131
8,851
10.8
436,814
31,084
7.1
696,512
25,188
3.6
879,915
32,771
3.7
867,048
22,559
2.6

資料:内閣府「国民経済計算」、総務省「国勢調査」、「住民基本台帳人口要覧」、「労働力調査」、財務省「貿易統計」、農林水産省「農林業センサス」、「農業構造動態調査」、「農業・食料関連産業の経済計算」

注:
1)輸出及び輸入は暦年である。
2)昭和45年度以前は沖縄県を含まない。
3)国内総生産の昭和35〜50年度は、国民経済計算(68SNA)によるもので、括弧書きで掲載した。なお、農業総生産は「農業・食料関連産業の経済計算」による。
4)一般会計国家予算額及び農業関係予算は補正後であり、NTT分を除く。ただし、平成2〜11年度はNTT分を含む。

表−8 年齢別農業就業人口(販売農家) 平成19年2月1日現在

単位:千人

 15〜3940〜5960〜6465歳以上
3,119(100)286(9.2)689(22.1)295(9.4)1,850(59.3)
1,451156276123895
1,668129413172955

資料:ポケット農林水産統計

・農業就業人口とは15歳以上の世帯員のうち、調査日前1年間に自営農業だけに従事した世帯員及び自営農業とその他の仕事の両方に従事したが、自営農業従事日数の方が多かった世帯員をいう。
・販売農家とは経営面積が30a以上又は、農産物販売金額が年間50万円以上の・農家のこという。
・( )内は、年齢別農業就業人口の割合である。

表−9 食料自給率の推移

単位:%

供給熱量自給率 主食用
穀物自給率
穀物
自給率
品目別自給率
大豆野菜果実牛乳乳製品牛肉豚肉
昭3579898210228100100409696
407380629511100904095100
4560744610649984409098
5054694011049984408186
5553693310049781407287
6053693110759577407286
平247673010059163405174
743643010328549403962
124060289558244403457
174061289557941404350
18(概算)3960279457939404352

資料:農林水産省「食料需給表」、「流通飼料便覧」

注:
1)供給熱量自給率は、(国産供給量/国内総供給熱量)×100の式により算出した。ただし、畜産物については、飼料自給率を考慮している。
2)主食用穀物自給率は、米、小麦、大・裸麦の合計について、国内生産量から国内産の飼料仕向量を、国内消費仕向量から飼料仕向量全体をそれぞれ控除して算出した。
3)穀物自給率は、「食料需給表」に表章されている「穀類」について計算したものであり、米、小麦、大・裸麦、とうもろこし、こうりゃん、その他の雑穀を含み、食用に仕向けられる穀物の他に、飼料用穀物を含む穀物全体の自給率である。
4)なお、供給熱量自給率は、平成19年に40%に回復している。

引用文献:平成19年度食料・農業・農村の動向、平成20年度食料・農業・農村の施策及び同参考統計表、同ポイント、世界の食糧事情と日本の食糧自給率(農水省)ポケット農林水産統計

続きを読む

トップページへ
 
農業体験学習ネット
このコンテンツのすべての画像、文字データについて無断転用・無断掲載をお断りいたします